事業承継税制(法人版)は、後継者が非上場会社の株式を贈与や相続で引き継ぐときに、その株式にかかる贈与税・相続税の納税を猶予し、一定の場合には免除する制度です。親族や従業員に会社を引き継ぐ場合の税負担を軽くするために設けられています。
一般措置と特例措置
| 項目 | 一般措置 | 特例措置 |
|---|---|---|
| 対象となる株式 | 発行済株式の3分の2まで | 全株式 |
| 納税猶予の割合 | 贈与税100%、相続税80% | 贈与税・相続税とも100% |
| 後継者の人数 | 1人 | 最大3人 |
| 事前の計画 | 不要 | 特例承継計画の提出が必要 |
特例措置の2つの期限
- 特例承継計画の提出:2027年(令和9年)9月30日まで。令和8年度税制改正で、従来の2026年3月31日から延長されました。
- 株式の贈与・相続:2027年(令和9年)12月31日まで。こちらは延長されていません。
計画を出しただけでは適用されず、期限までに実際の贈与・相続が必要です。
利用の流れ
- 認定経営革新等支援機関(税理士など)の指導・助言を受けて特例承継計画を作り、都道府県に提出する
- 株式の贈与(または相続)を行う
- 都道府県知事の認定を受ける
- 税務署に申告し、担保を提供する
- 承継後5年間は毎年、その後は3年ごとに報告・届出を行う
留意点
- 「猶予」であって、最初から「免除」ではありません。後継者が株式を持ち続けるなどの要件を満たし続ける必要があります。
- 承継後に株式を譲渡した場合などは、猶予されていた税額に利子税を加えて納めることになります。
- 手続きと報告が長期間続くため、顧問税理士と相談したうえで判断することが大切です。
第三者へのM&Aとの関係
この制度は、贈与・相続による承継が対象です。株式を第三者に売却するM&Aでは使いません。「親族や従業員に引き継ぐか、第三者に譲渡するか」を比べる段階で、選択肢のひとつとして知っておくと役に立ちます。
※ 本記事は2026年10月時点の一般的な情報をまとめたものです。個別の案件での判断は、専門家または当社までご相談ください。